フッ素が口臭に効果的という説は本当？

フッ素は歯科検診の際に塗布されたり歯みがき剤に添加されたりと、むし歯予防に効果がある事で知られています。それではこのフッ素、口臭予防には効果があるのでしょうか？

フッ素は自然界に存在

フッ素は自然界にも広く存在しています。土の中に280ppm、海水中に1.3ppmのフッ素が含まれています。その他、野菜や肉、水道水にも含まれているのです。また、私たちの体の骨や歯、血液、内蔵にも存在しています。アメリカやオーストラリアなどでは水道の水にフッ化物を添加するフロリデーションを実施しており、安全性も確立しています。日本では、過去に３地域でフロリデーションを実施していましたが、現在は実施している地域はありません。

フッ素の作用機序

フッ素は歯と口腔内の両方に作用します。歯に対しては、結晶性の改善、フルオロアパタイトの生成、初期脱灰部の再石灰化の促進の３つの効果により、歯質が強化され酸に対して強くなります。口腔内に対しては細菌・酵素作用を抑制します。

口臭の原因の１つは歯や口腔内にたまったプラークを細菌が分解する時に発生するガスです。フッ素は歯質の強化によってプラークをたまりにくくするという効果と、口腔内の細菌・酵素作用を抑制するという効果によって、口臭の原因を抑え込んでくれます。またフッ素は虫歯予防にも高い効果があるため、虫歯により発生する口臭の予防にも一役かいます。

フッ素は歯医者さんで使われる医療用のものから、市販で入手できるものまでさまざまな製品があります。歯に塗布するもの、洗口液、歯みがき剤などその種類は実に様々です。現在、市販の歯みがき剤のほとんどにフッ化物が添加されていますし、フッ化物が入った洗口液もたくさん見かけます。これらをうまく組み合わせて利用し、常に口腔内にフッ化物が影響している状態にするのです。

厚生労働省ではフッ化物洗口を就学前から推奨しており、フッ化物洗口の安全性についても通常使用で問題ないと示しています。このように良い事尽くめのようなフッ化物製品ですが、フッ化物洗口や歯みがき剤のみの使用で虫歯予防や口臭予防が完全にできるわけではありません。正しいタイミングでのブラッシングやフロスの使用、洗口でプラークをコントロールする事が基本です。その中でフッ素を上手に取り入れて、口臭予防を試みてみましょう。